現状は、小規模ながら、
総合公園、体育館、野球場、サッカー場、オートキャンプ場、魚市場、ヨットハーバー、海水浴場といった多様な既存施設があります。
この豊富なリソースを活かし、「スマートリゾート農園(スマート・アグリツーリズム)」を成功させるため「既存施設とのネットワーク化と、地域全体への『知恵』と『食の価値』の提供」に焦点を当てた構想です。
複合リゾート拠点としてのシナジー戦略 2,000坪のアニーズファーム農園単体でなく、周辺の既存施設と連携し、地域全体を一つの大きな「体験型リゾートエリア」として機能させる戦略となります。
1. 「学びとリトリート」
を核とした差別化 周辺にはレジャー施設が多いため、「農園」を単なるアクティビティ施設でなく、最新トレンドである「学び」と「ウェルネス」を核にします。
スポーツと食の融合(ウェルネス)
ターゲット: 体育館や野球場、サッカー場を利用するスポーツチームや学生の合宿。
提供価値: 「スマートリゾート農園」の野菜や魚介類をメインにした、栄養管理されたアスリート向け食事プログラムを提供します。疲労回復のためのハーブや、免疫力を高める地元の食材に特化した「リカバリー・メニュー」を開発し、単なる食事ではなく「コンディショニング」の一部と位置づけます。
オートキャンプとの連携(食のグレードアップ): * 提供価値: キャンプ場利用者に、農園で収穫したてのスマート野菜や、魚市場から仕入れた最高鮮度の魚介類セットを有料で提供します。通常のBBQではなく、「蓑島スマートファーミング・グルメBBQ」として付加価値を高めます。
2. 「魚市場・ヨットハーバー」
を活かした体験型観光 最もユニークな資源である海辺の施設と連携し、他地域では真似できない体験を提供します。
マリン・アグリ(海と農)ツアー:* ヨットハーバーを起点に、沖合のカキ養殖場を巡るツアーを実施し、帰港後に農園へ移動して収穫したての野菜と牡蠣を調理して食べてもらう「海と畑の循環ツアー」を企画します。 * このツアーでは、魚市場のプロを講師として招き、魚の捌き方やスマート養殖の仕組みなどを伝える**「プロフェッショナル体験」**要素を取り入れます。
3. 「公園・海水浴場」
を活かした地域コミュニティへの貢献 地域住民の憩いの場である施設と連携することで、地域の一員としての存在感を高めます。
週末ファーマーズ・マーケット: 総合公園や海水浴場の駐車場の一部を利用し、農園のスマート野菜や加工品、地元の魚介類を販売する定期的なマーケットを開催します。単なる販売だけでなく、地元の子供たちにスマート農業の仕組みを教える「教育ブース」を設置します。
景観保全への貢献: 海水浴場やオートキャンプ場と協力し、ビーチクリーン活動や植栽活動などを共同で実施することで、リゾートのテーマである「持続可能性(サステナビリティ)」を地域社会に発信します。 これらの既存施設を最大限に活用し、農園を**「地域の食とウェルネスのハブ(拠点)」と位置づける。
行橋市蓑島地区における「スマートリゾート農園」の構想は、非常に高い可能性を秘めており、地域活性化に繋がる有望です。 その理由は、蓑島地区が持つ「海」と「農」という強力な地域資源を、「スマート技術」と「リゾート」という最新のトレンドと融合させることができるからです。
蓑島地区のポテンシャル評価 1. 漁業・水産資源(海)の魅力 蓑島地区は周防灘(瀬戸内海)に面しており、特に牡蠣(かき)の養殖が盛んなことで知られています。
カキ小屋の季節的な人気: 秋から冬にかけてオープンするカキ小屋は、すでに観光資源として確立されており、リゾートの目玉となる「食の体験」として活用できます。
高付加価値な海の幸: シャコやワタリガニなどの多様な海産物もあり、これらを活かしたガストロノミー(美食)体験は、リゾートの魅力を高めます。
また、 農業資源(農)と立地 行橋市全体として
米(夢つくし)の稲作や、イチジク(蓬莱柿)、梨、桃などの近郊型農業が盛んな地域です。
体験型農業との親和性: 稲作や果物狩りなど、都市住民にとって魅力的な体験プログラムを提供します。
穏やかな気候: 温暖な瀬戸内海式気候は、リゾート滞在に最適です。
具体的には、以下の3つの要素を統合したコンセプトが考えられます。
1. 「スマート」の導入
高効率・持続可能性の実現 スマート技術を導入することで、最新のリゾートトレンドである「サステナビリティ(持続可能性)」と「労働効率化」を両立させます。 * スマート・アクアファーム(漁業):牡蠣や海産物の養殖にIoTセンサーやAIを活用し、水質や成長を最適化。安定供給と高品質化を図ります。
スマート・アグリ(農業):ドローンやセンサーを活用した精密農業により、化学肥料や農薬の使用を減らし、環境に配慮した栽培(ビヨンド農業)を実践します。
労働負担の軽減:スマート農機や栽培支援技術を導入し、農業・漁業従事者の身体的負担を減らし、新たな雇用を創出します。
2. 「リゾート」の提供
海と食のガストロノミー 単なる宿泊施設ではなく、「食」と「学び」に特化した滞在型リゾートを構築します。
シーサイド・ヴィラ: 海辺の景観を活かした高付加価値な宿泊施設(ヴィラ、グランピングなど)を設置し、富裕層もターゲットに含めます。
ファーム・トゥー・テーブル: 敷地内の農園や漁港で採れたての食材をすぐに調理し、提供する高質なレストランを核とします。特に「蓑島牡蠣」を年間を通じて楽しめる仕組みを構築します。
教育・体験プログラム: スマート農園の見学や、漁業体験、地元の食文化を学ぶ料理教室などを提供し、リゾート滞在に「学び」の要素を加えます(エデュテインメント)。
このコンセプトにより、蓑島地区は単なる観光地ではなく、
「持続可能な食と技術の未来を体験できるデスティネーション」として、九州内でユニークな地位を確立できるでしょう。
関門クロスシティ構想、研究会
E-mail : info@kotobukikoosan.jp
事業本部長 寺本 征一郎